Meta社(元Facebook社)主導。デジタル通貨プロジェクト「Diem」の現状と今後の見通しについて
今回は、Diem(ディエム)と呼ばれるデジタル通貨プロジェクトについて解説します。
Deimは元Facebook社が発足した「Libra」と呼ばれるプロジェクトを元にしており、紆余曲折を経て現在まで至っています。
今回はそんなDiemについて詳しく解説していきます。
Diem(ディエム)とは?
Diemはブロックチェーン技術を元に、暗号通貨による決済を行うための金融プラットフォームを構築しようというプロジェクトです。
Diemは元々はLibraと呼ばれていたプロジェクトでしたが、プロジェクトの先行きが行き詰まったことをきっかけにDiemへブランド名を変更して再スタートがなされました。
また、ブランド名の変更はFacebook社からの独立性のアピールと、コンプライアンス強化を行っていることのアピールであるともされています。
元々の本部はスイスでしたが、今後は米国で事業を行っていくことを表明しており、カリフォルニア州の公認銀行であるシルバーゲート銀行との提携も発表しています。
シルバーゲート銀行との提携では、米ドル建てのステーブルコインである「Diem USD」を発行することを発表しており、こうした流れはDiemのプロジェクト全体にとっての追い風になるのではないかと言われています。
Diemの特徴
Diemは世界的な金融インフラの実現を目指しており、これが実現すると現状銀行口座を持たない人々も資産の管理が可能になります。
また、Diemでは各国の法定通貨に対応したステーブルコインを複数発行することも予定しており、様々な国での決済に対応することが見込まれます。
他にも、DiemはすでにUberやShopify、Coinbaseといった大手企業との提携も行っており、決済手段の実用化に向けて着々と準備を進めています。
各国の通貨と連動するステーブルコインへの対応は、暗号通貨の送金手数料の安さや送金スピードの速さといったメリットを享受しつつ、法定通貨の価値の安定性を保証できるため、世界的に多くの利用者が安心して使えるシステムであるともいます。
現在、Diemでは「Novi」という暗号資産ウォレットを利用したDiemネットワークの試運用を行っており、今後こうしたテスト利用で安全性が確認されるようであれば実用化に向けて大きく前身することが期待されます。
Diemをめぐる意見
DIemに関しては、様々な意見があるのが現状です。
Diemに限らず、各国の規制当局はステーブルコインの存在について懸念を抱いている担当者も少なくありません。
また、マネーロンダリングの問題への対応やセキュリティ問題への対応など、数多くの問題が存在しこれらに対する安全を証明しなければなりません。
現状、DiemのネットワークはNoviの活用など、試運用を行うまでには至っていますが、これから先は金融インフラとしての安全性と有用性をいかに証明できるかが鍵となりそうです。
Diemのネットワークを使用した金融インフラの構築は、既存の金融システムが持つ問題を改善する足掛かりとなるのではないでしょうか。
今後のプロジェクト動向について
Diemについては、今後は様々な試運用を行った上でさらにその規模は拡大を見せることが見込まれています。
現状は米国を中心とした活動となっていますが、今後米国でのシステム運用を経て徐々に金融インフラとして拡がりを見せることが予想されます。
しかし、各国金融インフラは自国で新たにCBDCなどの取り組みを行っている国も多く出てきているため、こうした活動との折り合いをどのようにつけるかも今後のDiemのプロジェクトの発展に大きく影響を与えるのではないでしょうか。
CBDCでは中国がデジタル人民元で大きくリードし、欧州をはじめ各国自国通貨のデジタル化にも力を入れています。
米国でも今後、CBDCへの取り組みを強化する中でDiemのプロジェクトがどのように展開されていくのか、そしてどのようにして規制がなされていくのかがDiemの今後を左右するといっても過言ではありません。