そんな時だからこそ、今回は過去の株価急落事例を振り返り、そこから学ぼうというシリーズです。
愚者は経験に学び賢者は歴史に学ぶ!米国株下落時だからこそ知っておくべき過去と自分ルールの作り方
今回は、世界で最も重要な株式市場である米国の株式相場の下落について、過去のデータを踏まえて深ぼって行きます。
世界経済をリードする米国がいかに資本主義経済の中で力を持ち、どのように世界に影響をもたらしているのかを理解することで、今後の投資戦略を考える上で非常に役に立ちます。
下落相場で投資から離脱するのではなく、長期的に健全に資産を築いていくためにも、今年の株式市場の暴落について理解して以降の投資に役だれてるようにしましょう。
過去を理解して下落相場でも慌てず判断しよう!
2022年5月時点の米国市場では、FOMC(米連邦公開市場委員会)でFRB(米連邦準備制度理事会)が通常より大幅な利上げを決定した事やインフレ抑制を優先するFRBのタカ派的金融政策と米国経済のリセッション(景気後退)懸念やウクライナ危機の長期化や中国のゼロコロナ政策による景気減速懸念が株式売りの要因とさまざまな要因がかさなって株価の急落が騒がれています。
VIX指数(恐怖指数)という株式市場の先行きに対する投資家の心理状態を示す指数を見ると、最近はすでに30レベル付近をしばらく徘徊しており、投資家が株式市場の行き先に不安を感じている事も示唆しています。
今後同じ状況は起こらないにしろ、暴落時の暴落率や期間やどういう対応をした事で相場が落ち着いたなど過去の事例を知る事で、少なからず心の準備をする事ができます。
長期投資において、株価の急落は必ず経験し通らなくてはいけない場面です。今回の下落相場を過去の株価急落事例を振り返り、どういう風に今後の投資に活かすかはあなた次第です。
去年発売されたRay Dalioの著書「Principles for Dealing with the Changing World Order 」にも書かれているように、過去を知る事から傾向や未来を予測することを学んだと言及されています。
Ray Dalio氏は、アメリカ合衆国の投資家で、ヘッジファンドのブリッジウォーター・アソシエイツの創始者です。
2013年には世界最大のヘッジファンドとなった事や世界金融危機を予見したとしてヘッジファンド界の帝王とも呼ばれています。
日本語訳はまだ出版されていませんが、とても有益で参考になる本でしたので是非手に取ってみてください。
では、早速見ていきましょう。
過去の下落を分析
今回取り上げるのは米国市場のS&P500です。
S&P500から見る過去の相場
S&P500とは、米国の代表的な500銘柄の時価総額を加重平均し数値化したもので、米国の大企業の株価平均を示すものです。GAFAMを含んでおり好調な業績を維持する選ばれた銘柄で作られています。
S&P500は、米国市場を見る代表的な指数として注目されています。
下記のグラフは、1984年以降のS&P500のチャート推移になります。
まず1980年代から遡ると米国株の暴落と言える−30%の下落は(図グレー部分)の以下の4つが挙げられます。
- 1987年からのブラックマンデー:-34%
- 2000年からのITバブル崩壊 : -50%
- 2008年からのリーマンショック : -56%
- 2020年の新型コロナショック : -34%
−30%の下落はないにしても−10%を超える下落(図ブルー部分)としては以下の4つが挙げられます。
- フラッシュクラッシュ:-10%
- ソブリン危機:-15%
- チャイナショック:-14%
- 米中貿易摩擦:-17%
各株価暴落の背景など詳しく知りたい方は、一度ご自身でご確認ください。
まずそれぞれの下落率、下落期間と回復期間などを簡単に見ていきましょう。
下落率 | 下落前高値から 最安値までの期間 |
下落前高値 までの回復期間 |
|
ブラックマンデー | 34% | 2ヶ月 | 1年9ヶ月 |
ITバブル崩壊 | 50% | 2年4ヶ月 | 7年7ヶ月 |
リーマンショック | 56% | 1年6ヶ月 | 5年6ヶ月 |
フラッシュクラッシュ | 10% | 3ヶ月 | 7ヶ月 |
ソブリン危機 | 15% | 2ヶ月 | 7ヶ月 |
チャイナショック | 14% | 7ヶ月 | 12ヶ月 |
米中貿易摩擦 | 17% | 3ヶ月 | 8ヶ月 |
コロナショック | 34% | 1ヶ月 | 6ヶ月 |
下落率で見ると、ITバブル崩壊時とリーマンショック時の下落が著しいです。
またこの2つの下落期間は長く、2年4ヶ月や1年6ヶ月と年単位で下落し続けるという地獄相場です。
下落前高値までの回復までにも、ITバブル崩壊時は7年7ヶ月、リーマンショック時には5年6ヶ月とかかっており、相当なメンタルを持ち合わせておかなければ、ずっとホールドし続けるのは厳しい時期でした。
リーマンショック後は短期的な下落が続きますが、どれも1年未満には回復するというような相場をみせています。
その理由として適切な政治の介入が挙げられ、経済の安定化に不可欠であることを教えてくれており、2010年以後の経済と政治の関係は、それらの経験に基づくものと言えそうです。
過去に現在を見ることができ、それを証明したのがコロナショックではないでしょうか?
コロナショックは、異例で1ヶ月という期間に−34%の下落を見せ、それを半年で回復するという特殊な動きをしていました。
これが、吉とでるか凶とでるか、、、まだわかりませんが過去の相場から自分ルールを作って投資する方法も今後の投資方法を明確にする一つの手だと思います。
今後のS&P500の見通し
またこのチャートを見るとわかるように、各大暴落をしても、しっかりと右肩あがりに成長し続けているのが米国市場の強さと言えます。
今後米国市場が成長し続ける保証はありませんが、S&P500においては、長期的に見て米国人口の増加や社会を大きく変える可能性がある企業やイノベーションを生み出し続ける企業など米国市場成長の要因をもっており、常に入れ替わりがあり、好成績の会社のみが取り上げられるので比較的安心して投資する事ができると言えます。
しかし短期的にみると、今回は大きな調整局面である事には変わりなく、この下落時に新たにチャンスを得たり、しっかりとこの機会に学ぶ必要があります。
株価急落時における戦略
大きく暴落している銘柄を持っている人もいれば、キャッシュポジションを大きく持っていて、暴落を逃れている人もいると思います。
リスク許容度と投資の内容は、個人の投資の目標によって大きく異なります。
ここ最近の暴落で、自分の投資方法について疑問を持ったり、ある程度の道筋が見えてきて人などさまざまな方がいると思います。
暴落で不安の人
下落相場において、不安になった方はポジションを取りすぎていたり、自己許容できるリスクを超えているという事になります。
投資は、自分の無理のない範囲で行うのが鉄則です。
あらかじめ自分ルールを決めている事によって、株価急落時でも自分のリスク許容範囲で無理のなく対応できると思います。
自分ルールを設定しておこう
自分ルールの決め方としては
- 損切り
損切り基準を設定する。
ある一定の%の下落になると保有銘柄のX%を損切りするなどあらかじめ想定して決めておく事です。上記の表から過去の大暴落でもS&P500の場合であれば−57%がMAXの大暴落です。今自分の投資額がいくらでどのぐらいの金額までリスク許容できるかなどあらかじめ想定しておきましょう。
また暴落時にやってはいけない事として、狼狽売りがあげられます。
- 買い増し
買い増し基準を設定する。
上の表からS&P500の下落前直近高値から10%から15%の下落(上記の2010年以降の下落を参考に)を目安にXX万円買い増しをするなどです。
その場合、買い増し余力を日頃からきちんと用意しておかなければならないので、きちんとキャッシュフロー管理をする必要があります。
またやってはいけない事として暴落時での全力投資です。株価がいつまで下がるかは誰も予測のつかない事です。
今回の下落相場で実感した自分の感情と真剣に向き合い、今後の自分の投資手法を確立する良いきっかけとしてきちんと整理する事が大切です。
暴落時でもリスク許容範囲
一方で、リスク許容度が思いのほか大きく、買い増し余力やレバレッジをかける事もできるという方もいるのではないでしょうか?
今回の暴落における投資が、大きなリターンを生み出し、今後の人生を変える可能性があります。
日頃から学び、常にアンテナを張って準備をしていく事でこのチャンスをつかむ事ができるかもしれません。
今後の投資の向き合い方
5月に入り世界の株式市場は下落しており、日本円も1ドル130円台を突破し、20年ぶりの円安になりました。
S&P500やNASDAQが年初来−27%前後とリーマンショック以来の大きな調整局面ですが、上記の内容を踏まえて再度自分でリスクを取れるか取りすぎていないか判断し調整をしていかなければいけません。
GAFAMを中心としたハイテクグロースの勢いは明らかに鈍化しており、債券は金利上昇を背景に1〜3月期は史上最悪のレベルの下落です。これはまだまだ続くと見られており悲観相場は続くと言われています。
この下落相場を通して自分ルールをきちんと見直し、投資家として成長できるようにしたいですね。
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